第7回 中四国地方協議会保険薬局事務職員研修交流会に参加して
2年に一度行われる「中四国地方協議会保険薬局事務職員研修交流会」が6月15日・16日に岡山県で開催され、当薬局からは、13名参加させていただきました。
この度は、岡山県での開催ということで、朝日訴訟およびハンセン病による偏見差別がもたらした人権侵害について学ぶことを目的とし、また民医連保険薬局事務職員の交流を深めるため行ってきました。
【1日目】
NPO法人朝日訴訟の会理事の朝日健二様に“「人間裁判」における生存権の課題”について、講演していただきました。涙を流しながら講演してくださり、とても心に残りました。生活保護の保護基準の引き下げの理由は、低所得者の消費水準よりも保護基準が高いという理由でした。しかし実際に比較基準とされている低所得者とは、本来なら保護を適用しなければならない低所得者層であることを知りました。マスコミの情報を鵜呑みにするのではなく、自分で学び正しい知識を得る事の大切さを実感しました。
その後、グループに分かれ“保険薬局事務として何がで
きるのか”をテーマにKJ法を用いて話し合いをしました。
普段、他の薬局の方と仕事の話をする機会がないので、
とても有意義な時間になりました。
夕食交流会では、食事をしながら語り合い、途中で
ゲームをし、グループで交流を深める事が出来ました。
【2日目】
瀬戸内市邑久町にある国立療養所長島愛生園に行きました。国立療養所長島愛生園とは、昭和5年にハンセン病患者を収容するために開設された日本初の療養所です。
ハンセン病とは、かつて「らい病」と呼ばれ、遺伝病と信じられていました。やがて、細菌の一種である「らい菌」による感染症ということが確認されましたが、有効な治療法がなかったため、国の政策として療養所への隔離政策が行われました。感染すると、末梢神経がおかされ、知覚麻痺がおこり、温度や痛みを感じなくなります。その結果、やけどやけがを繰り返し、手足や顔面が変形する後遺症が残りました。病状が進むと喉、鼻、眼など被服から露出する部分が変形することから、偏見や差別の対象になりやすかったのです。しかし、らい菌の病原性は非常に弱く、大量の菌を持っている患者さんと免疫力の弱い赤ちゃんが長期にわたって接触しなければ感染しないと言われるほど、感染力は極めて弱いのです。そして感染しても発病することはまれです。
≪長島愛生園歴史館≫
歴史館でハンセン病と長島愛生園の歴史について学びました。
「らい予防法」というハンセン病の患者さんを隔離する法律が廃止されたのは、平成8年のことです。なぜ、廃止されるのがここまで遅れたのか、とても不思議に思いました。国の政策である隔離政策が、患者さんを隔離すると同時に、ハンセン病治療自体を隔離してしまっていたからです。
≪収容桟橋≫
多くの入所者が上陸した桟橋跡地です。入所時、家族などの付添い者もこの桟橋までしか入ることはできず、入所者にとっては社会や家族と別れの桟橋にもなりました。
≪収容所(回春寮)≫
入所するとまずこの建物に収容され、各種の検査や入所手続きが行われました。その際、現金などの禁止物品の取り上げ、消毒(クレゾール)風呂への入浴、持ち物の消毒などもここで行われました。
この交流会に参加させていただくまで、ハンセン病についての知識はほぼゼロでした。事前学習を通し、よりハンセン病について深く考える事ができました。目に見えるところに発症してしまうので、偏見や差別の対象になってしまっています。現在、長島愛生園にはハンセン病の方は1人もいません。治癒されていても、後遺症や高齢化、ハンセン病への誤った知識による偏見や差別のために、多くの方が現在も療養所で生活されています。
この2日間を通して、目的としてあげられている偏見差別がもたらした人権侵害について、向き合い学ぶことが出来ました。知識がないために、誤った報道を鵜呑みにし、自覚のないまま偏見や差別をしてしまっていたと思います。何事に対しても正しい知識を持って向き合う事の大切さを実感しました。この研修で学んだ事を日々の業務で積極的に活かしていきたいと思います。